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デッキの考察やらなんやらを投下します

鉄獣剣闘のすゝめ ~剣闘獣の新たな可能性~

2020年4月、マスタルール4に移行し、剣闘獣はその恩恵を受けるはずでした。

もちろん、その恩恵が無かったとは言いませんが、使ってみた本人はその弱さに絶望していました。

安定感を欠く2枚初動、スレパンにマストカウンターを決められた時の貫通力の無さ、上振れなかったらバグースカ棒立ち、そして上振れる確率の低さ……。

もう大会で握ることはないだろうと思っていました。

しかし2020年8月、そんな剣闘獣に救世主が現れました。

それがこちら、鉄獣戦線です。

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出た当初は剣闘獣とは相性が悪いと思っていましたが、とある理論に気付いてから、大会でも安定して勝てるデッキに変貌しました。

今回は、そんな鉄獣剣闘の強さと、その強さを引き出せるプレイングについて、紹介していこうと思います。

 

鉄獣戦線の加入により何が強化されたのか、それを列挙するとこのようになります。

①安定感・貫通力

②継戦能力

③制圧力

④捲り性能

 

まず①安定感・貫通力についてですが、これはこの2枚の新規の影響が大きいです。

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元々剣闘獣は、スレイブパンサーにアクセスすることが必須と言っても過言ではありません

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何としてでも盤面に剣闘獣を含むモンスター2体を並べる必要があるわけです。

その素材をデッキからリクルートできる凶襲のおかげで、パンサーを出せなくなる事故は格段に減りました。

もしパンサーを出せる手札であれば、凶襲は完全な上振れであり、パンサーに泡擁を食らってもナーベルリクルートから展開できるので貫通力が上がったと言えます。

また、ケラスは自身で展開効果を所持しており、さらなる展開をすることができます。

召喚権に依存しない展開ルートの存在は、剣闘獣が以前から欲しいなと思っていた要素であり、補強ポイントがピンズドでした。

 

次に②継戦能力③制圧力についてです。

これは王神鳥シムルグの影響が大きいです。

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シムルグは以前から存在していたカードですが、ナーベルの登場により一気に実用圏内になりました。

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シムルグの第一の強さは、先攻1ターン目に烈風の結界像を立てられることです。

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この結界像がどのような役割を果たすかといいますと、強制的に相手をバトルフェイズに移行させられる利点があります。

風属性デッキでないという前提こそ必要ですが、結界像の効果を無効にできない場合、どのように処理しようと考えますか?

そう、通常召喚して殴るしかないのです。

この時点で、相手はメインフェイズ1における展開を破棄することになります。

実戦でもこの恩恵はかなり大きく、返しでワンキルされることはまずありませんでした。

これはつまり、ほぼ確実にターンが返ってくることになります。

もともと剣闘獣は戦闘を介してアドを稼ぐテーマであり、後攻の方が動きやすいとされていました。

ところが現代遊戯王は先攻制圧が正義であり、後手デッキはそれだけである程度のディスアドバンテージを背負っているのと同義です。

しかし、先攻で結界像を立てるだけでほぼ確実にターンが返ってくるということは、先攻を取りながら後攻の動きができるということなのです。

後手デッキが先攻で打つ大熱波と似た状況と言えば分かりやすいでしょうか。

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とにかく、後手デッキが相手に先攻を取られずに後攻の動きができる、現代遊戯王においてこんなにも素晴らしいことはなかなかないのです。

 

ここで、「結界像を処理されてたらメイン2に展開されて意味ないじゃん」と思われる方もいるでしょう。

しかし戦闘で盤面を処理されることはないため、こちらのリソースが盤面に残ることは意外と多いのです。

盤面0から相手の制圧を捲るハードルは高いかもしれませんが、盤面にリソースが残っているだけで、そのハードルは一気に下がります。

 

加えて、剣闘獣にはドミティアノスというエースの存在があります。

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相手の通常召喚して殴るという解決策すら攻撃誘導で奪うことができるため、結界像は非常に相性が良いと言えるでしょう。

後述しますが、ドミティアノスでなくとも鉄獣1枚から簡単に出る双龍など、相手の通常召喚権を潰すことができる展開は多く、実際には結界像を残せることも多いです。

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特殊召喚封じは現代遊戯王において最も刺さりやすい制圧です。

つまり結界像を残しやすいということは、従来と比較してより強固な制圧盤面を敷くことができるようにもなったということなのです。

 

しかし、「剣闘獣には風属性以外も多くおり、結界像が残ってしまっては満足に動けない」と思われる方もいらっしゃると思います。

ここでシムルグの第二の強さが光ることになります。

それは、相手ターン終了時にナーベルを特殊召喚できることです。

ナーベルは風鳥獣なので問題なくリクルートできます。

そしてこのナーベルが、次の自分のターンにドラガシスを生成できるのです。

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ドラガシスが風属性なのが活きてきましたね。

あとはお分かりでしょう。

結界像を雑にアポロウーサなどに変換してドラガシスで殴るだけで、その先には従来の最大展開が待っているわけです。

ドラガシスが通れば宇宙が広がるのは皆さんご存知の通りです。

余裕でドミティアノス、ヘラクレイノス、アポロウーサが立ちます。

 

まとめますと、先攻で結界像を立て、相手ターンでナーベルを呼び、返しのドラガシスで展開するという流れが非常に強力です。

言い換えれば、先攻なのにドラガシスを使うことができる、ということなのです。

 

 

最後に④捲り性能についてです。

これは①で紹介したように貫通力を増したことも要因の一つですが、何より1枚の鉄獣戦線からドラガシスを出せるようになった、これが非常に大きいです。

今までの剣闘獣は後手でドラガシスを出せることが強いことを知っていても、盤面に剣闘獣が2体並ばないことも多く、歯がゆい思いをすることが多々ありました。

しかし墓地さえ貯めてしまえば1枚でドラガシスが立つということは、後攻での安定感がかなり上がることと同義です。

新規のおかげで、よりドラガシスの恩恵を受けやすくなった、と言えるでしょう。

 

 

ここまで、鉄獣戦線と剣闘獣の相性の良さについて述べてきました。

Take Home Messageとしましては、

「先攻でシムルグ結界像、相手エンドにナーベル、返しでドラガシス」

この勝利の方程式です。

これは机上の空論ではなく、実際に大会に出て手ごたえを感じた理論ですので、まだ試していない方はぜひ試していただきたいと思います。

 

そして、この方程式を軸とした初手別の展開例をいくつか紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

 

①パンサーしか立たず、他の展開札もない場合

最終盤面:シムルグ+結界像

展開方法:パンサーで再起サーチ、再起でパンサーの素材を蘇生、パンサーでエクイテに変換、エクイテで再起回収、エクイテとパンサーでシムルグ、シムルグで結界像出してエンド

コメント:一番弱い盤面。シムルグが残ることを祈るしかない。エクイテで再起を回収できているのが唯一の救い。

 

②パンサー立ててからケラスを展開できる場合

最終盤面:シムルグ+結界像+双龍

展開方法:①の方法でシムルグを立ててからケラスを自身の効果で特殊召喚して効果を使うだけ。

コメント:相手の通常召喚モンスターを双龍で戻せるので、かなりの確率で結界像が残る、普通に強い盤面。返しのドラガシスで展開するにあたって、既に再起を握れていることが返しで最大制圧を容易に敷ける最大の理由。

 

③パンサーが立ち、パンサーの効果を含めてエーディトルを展開でき、その上で手札に鉄獣がいる場合

最終盤面:シムルグ+結界像+ドミティアノス+フェリジット+鉄獣下級

展開方法:パンサー初動でエーディトル、ドミティアノスまで展開。パンサーとエーディトルでフェリジット、フェリジットで鉄獣展開、鉄獣効果でシムルグ召喚。

コメント:ドミティアノスで結界像を守れる、さらに堅い盤面。

 

④パンサー込みでエーディトルが立ち、さらに再起を握れる場合(かつての最大展開ができる手札)

最終盤面:シムルグ+結界像+ドミティアノス+エーディトル

展開方法:パンサー初動でエーディトル、ドミティアノスまで展開。パンサーとエーディトルでフェリジット、再起でエーディトル蘇生、エーディトルでアンダバタエ召喚、アンダバタエとフェリジットでシムルグ。

コメント:③の盤面にエーディトルが追加され、相手が処理したいモンスターが増えた、より厄介な盤面。エーディトルが残ると次の自分のターンにガイザレスを出せるので捲り性能がすごい。

 

⑤④に加えて鉄獣を握れる場合

最終盤面:シムルグ+結界像+ドミティアノス+ヘラクレイノス+アポロウーサ

展開方法:ドミティアノス出してフェリジット出すまでは④と同じ。フェリジットで鉄獣展開、鉄獣でシムルグ召喚、再起でエーディトル蘇生、エーディトル効果でヘラクレイノス、鉄獣+フェリジット+エーディトルでアポロウーサ

コメント:最高の上振れだけど、エーディトルを残して返しのガイザレス特殊召喚の筋を残した方が強いので自分はほとんどやらない。

 

 

いかがだったでしょうか。

鉄獣剣闘の魅力が伝わったら何よりです。

展開例については上記以外にも多くあり、実際に回してみないと分からないことも多いと思います。

プレイングの難易度は非常に高いですが、経験を積んで手に馴染んでくるととても楽しいです。

剣闘獣で大会に出て勝ちたい! という方の参考になれば幸いでございます。

また、各カードの使い道の細かいテクニックなどもありますので、そちらは次回の鉄獣剣闘構築論の記事で紹介していこうと思います。

それでは今回はここまで、次回構築編でお会いしましょう。